コラム

 公開日: 2017-11-11 

タクシーで暴れた30代男性弁護士のニュース

タクシーで暴れて防犯ボードを壊した事件


 テレビのワイドショーでも取り上げられたようですが、
札幌のタクシーで、酔って暴れて、防犯ボードを蹴り壊して、代金990円の支払いを免れた事件は、
犯人が30代の男性弁護士(札幌弁護士会)だったという報道があります。



 今のところ、実名報道はされていません。
 某法律事務所のホームページやFBページがアクセスできなくなったり、
その事務所の代表弁護士のFBのアカウントが削除されているようですから、
ネット上ではその弁護士のことという向きの情報が流れています。
 その弁護士は、法律事務所の他にベンチャー支援の事務局長やクラウドファンドの会社の代表者でもあるようですから、もしそうなら道内の企業に影響も少なくないでしょうし、
別人であればそれはそれでオオゴトです。

 事件の翌朝になってニュースを観た本人が自分のことだと気付いて、自ら警察に申し出たという話もあります。

 いずれにせよ、弁護士名などの具体的な詳細は、いずれ報道されると思います。

刑事事件として


 報道ですと、今のところ、刑法の器物損壊罪の事件という扱いのようです。

(器物損壊等)
第二六一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 器物損壊罪は親告罪なので、被害者つまり壊された防犯ボードの所有者の告訴が無いと起訴できません。


 タクシー運転手を直接蹴っていなくても、人に向けた暴力ということで、暴行罪も問題になります。

(暴行)
第二〇八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。


 重いのは、タクシー料金を免れた点です。運転手の反抗を抑圧するくらい強い暴行脅迫がなされたとまでは言えないでしょうから、強盗罪とまではならないように思います。
 しかし、2項恐喝罪は問題になりそうです。

(恐喝)
第二四九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。



 個人タクシーだったのか、タクシー会社のタクシーだったのかは今のところ分かりませんが、いずれにせよ、加害者側としては、タクシー運転手とタクシー会社との間で、早急に、刑事事件として処罰を求めないという示談をまとめてもらうように対応しているのではないかと思います。

 いくら高額の示談金を積まれても、今後の類似の事件を防止してタクシー運転手の安全を図るという意味では、示談をしないという判断があり得ます。


民事事件として


 防犯ボードなど損壊した物の賠償や、運転手の方への慰謝料などの賠償責任が加害者に生じます。
 刑事事件の示談と併せて、解決することになるかどうかということになります。

 刑事事件として許してもらえなくても、加害者側としては、速やかに賠償に応じることになると考えられます。賠償責任を果たしたかどうかは、刑事事件の責任の判断にも影響するからです。


弁護士会の懲戒


 加害者が弁護士だったとなると、所属弁護士会の懲戒を受ける可能性があります。
 被害者側から弁護士会に懲戒請求をすることもありますし、全く関係のない第三者が懲戒請求をすることがあります。
 本件ではないですが、第三者が大量の懲戒請求を申し立てるという問題が道外の弁護士会で生じています。

 誰でも懲戒請求をすることができること自体はいいと思いますが、事務作業の手間が生じる以上は、懲戒の問題の直接の当事者ではない人からの懲戒請求には手数料をそれなりに取るようにすべきだと思います。
 請求額の算定不能の場合の民事訴訟の印紙代が1万3000円という目安から、同額くらい取ってもいいと思います。

 本件で被害者が懲戒請求するかどうかは分かりませんが、弁護士会として独自に懲戒手続に付するということも考えられます。

 弁護士会の懲戒は、懲戒を求めるかどうかを綱紀委員会という機関で審査します。
 綱紀委員会で懲戒を求めることが決まれば、懲戒委員会で懲戒するかどうか懲戒するとしてその内容をどうするかを決めます。
 綱紀委員会や懲戒委員会は、弁護士だけで構成するのではなく、裁判官や検察官、有識者からも委員として参加してもらっています。

 懲戒されるとなると、軽くて戒告(注意されるということ)で、次が1月から2年の間で業務停止ということになります。
 戒告と業務停止の懲戒処分の重さに開きが大きいという問題があります。

 本件の場合、懲戒されるとしても、業務に関係する不祥事でもないですから、戒告どまりではないかと予想します。ただ、懲戒は、ベテランに甘く、若手・中堅に重い印象なので、業務停止まで行くかもしれません。

酒の怖さ


 今のところ、誰だったのかは断言はできませんが、今言われている弁護士であれば、札幌でかなり成功していた弁護士だったといえるでしょう。
 弁護士業務が全くできなくなるわけではありませんが、社会的信用もかなり傷つくことになります。
 今の事務所を維持できるのか、その他の役職にとどまれるのかはかなり厳しいのではないかと思います。

 荒れるまで呑んでしまうほど、他人からは分からない苦しみがあったのかもしれません。


 私自身は、酒は好きですが、弱いので、荒れる前に眠くなりますし、ペースが速かったり量が多いと吐いてました。しかし、こういうことにならないよう、酒の飲み方には注意したいと思います。

 月並みですが、これからの忘年会シーズンは皆様にも注意して酒を楽しんでいただきたいです。



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