コラム

2013-07-25

弁護士が考える「法律の裏ワザ」 1

弁護士は法律のプロとして知られていますが、法律のプロというと「法の抜け道」を知っている人と誤解されることがあります。

法の抜け道 < 社会常識

法律を知っているということから、法の不備があれば、そのことを知ったうえで「抜け道」もアドバイスしてもらえると思われるのかもしれませんが、法の不備があるからといって、弁護士がその不備を利用して社会常識に反するアドバイスをするかというと、そのようなアドバイスをすべきと考える弁護士はほとんどいないでしょう。

大学のカリキュラムで法学という科目がありますが、そのなかで「法と道徳」というテーマが取り上げられることがあります。「法は最低限の道徳」とも言われ、道徳的規範のうち国家・社会によって強制してでも守らせなければならないものが法律だというのがその理由です。

したがって、法律に反していないからそのことをやって良いと考える前に、健全な社会常識に照らして、そのことをすることが正しいことなのかどうかということが判断の大前提として必要というのが私の考えです。というわけで、私は、20数年の弁護士生活の中で「法の抜け道」をアドバイスしたことはありません。

正当な利益の擁護のための裏ワザ

一方で、法律を杓子定規に適用したのでは、依頼者の「正当な」利益を守れないということもあります。そのようなときには、自分の持っている法的知識を総動員して、別の法解釈の可能性を追求してでも依頼者の「正当な」利益を守る方法はないかと考えます。これは、前提としてその依頼者の「正当な」利益は擁護されるべきという考えがあるからです。

最近、法科大学院の学生や司法修習生と事件の見通しなどに関する話をしていると、結論の相当性よりも、形式的な法律解釈や先例となる判例が無いからといった理由から「無理です。」と簡単に結論を出す傾向が気になるのですが、そこには「結論として、依頼者の利益は守られるべき。」という視点はありません。

これでは、裁判官は務まるかもしれませんが、弁護士としてはやって行けません。弁護士は「基本的人権の擁護と社会正義の実現」を使命としていますが、依頼者の「正当な」利益を守るのはまさにこの使命に適うことですから、そのためには、裏ワザであっても使える武器は活用すべきものだというのが私の考えです。

次回のコラムでは、相続に関係する事件で考えた、マスダの「法的テクニック」をご紹介いたします。

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