コラム

 公開日: 2013-08-15  最終更新日: 2014-09-19

裁判員裁判の現状は~裁判員裁判導入の意義

2009年5月から始まった裁判員制度。
その実態もマスコミの報道などで徐々に分かってきましたが、重大事件の裁判では、審理に参加した裁判員が心理的なストレスから体調を壊すなどの事例も報告されるようになっています。

制度導入の当初は
「どうやったら裁判員を免れることができるのか」
「法律の知識がない自分たちがきちんとした判断をすることができるのだろうか」
といった質問が多かったように思いますが、現在はそのような認識についてはある程度知れ渡ってきて、それよりも
『審理のために長期間拘束されること』
『裁判員として関与することの精神的ストレス』
について不安を持つ人が多いような気がします。

なぜ裁判員裁判制度は導入されたのか

裁判員制度を批判する意見の中には、市民が多忙な裁判官の下請けに使われているというものもありますがそれは誤りです。
この制度導入の真の狙いは、これまで刑事裁判官が専門的に取り扱ってきた裁判において、複数の冤罪事件の存在が明らかになり、プロの裁判官であっても、必ずしも適切な事実認定ができる訳ではないので、裁判の中に『一般の社会人の常識を反映させよう』ということから導入されたものです。

裁判官には、市民的自由が全くないとはいえませんが、対外的に活動する場面でも、その行動は自制的になりがちで、一般の市民の方たちと比べると、どうしても、その経験は「裁判所を中心とした狭い範囲に限定されがちである」ということがあります。

裁判官が、犯罪現場となりそうな危険な場所に出入りすることはほとんどないでしょうから、そのような現場の状況に対するイメージにも乏しく、事実認定については検察官が整理した事実に引きずられてしまうことが多いのではないかという刑事弁護人の思いが裁判員裁判という制度の導入につながったといえます。

裁判員に選ばれたら~自分の考えを表明しましょう

裁判員裁判は、アメリカの陪審員裁判とは違って、3名のプロの裁判官と6名の裁判員によって合議をすることになります。

裁判に適用する法律や刑罰の相場と言われる、これまでの裁判例などの基本的な事柄については「プロの裁判官の助言を受けることもあります」ので、法律を知らないことで判断できないということは基本的にはありません。

問題は、裁判員に選ばれた方たちが自分の判断に自信を持てないために、「プロの裁判官の考えに引きずられてしまう」のではないかということです。そのようなことになれば裁判員制度を導入した意味は失われ、国民に負担をかけて制度を導入したけれども何も変わらなかったということになりかねません。

日本人は、どちらかというと自分の考えを主張して相手を説得するということに慣れていないところがあるので、内心では全体と違う考えを持っていても、なかなかそれを言い出せないということがあるかも知れませんが、それでは裁判員制度を導入した意味がなくなってしまいます。

自分の考えをきちんと相手に伝えるというのは、実は社会人として求められる基本的な能力でもある訳ですから、そのことが苦手だからといって裁判員制度にしり込みするのは本末転倒の話だと思います。
むしろ、この機会を「自分の考えをきちんと表明するトレーニング」の場だと考えて積極的に意見表明をすることができれば、自己変革の大きなきっかけになるかもしれません。

裁判員は「法律を知らなくてもできる」ということをまず知っておいてください。

大事なのはご自分の経験に裏打ちされた常識的な判断です。
そして、その判断の内容をほかの8名に対して表明することに尻込みをしないことです。

そうすれば裁判員として良い経験ができると思います。

裁判員に選ばれた方やこれから選ばれるかもしれない方には、ぜひとも積極的に参加していただきたいものです。

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