コラム

2013-09-12

裁判員と死刑制度(2)

死刑制度は存続すべきか

前回のコラムでは、裁判員制度に関連して死刑のことを書きましたが、今回は死刑制度を本当に存続すべきなのかということを掘り下げてみます。

私は、死刑制度については、どちらかというと否定的な考えを持っています。

⑴ 刑罰の機能~応報刑と教育刑

被害者の遺族が、「殺してやりたい!」と思うほど被告人に対する強い報復感情を抱くのは当然の気持ちですが、死刑制度は国家が人間の命を奪うという制度です。現在、多くの国では死刑制度は廃止され、存続されているのは、アメリカの一部の州やその他少数の国々だけです。

なぜ国家は刑罰を科すのでしょうか。

この点については、法律の世界でもいろいろな考え方があるのですが
 自らが犯した罪に相応の罰を受けるべきだという「応報刑」という考え
 犯罪者を矯正するために罰を与えるという「教育刑」という考え
この二つの考え方が、以前より対立していました。そして犯罪者から社会を守るために刑罰が必要だという「社会防衛」の観点から刑罰を考えるという立場もあります。

これらの考えは、いずれも刑罰の持つ機能を示すもので、刑罰にはいずれの機能もあると考えるのが合理的でしょう。

⑵ 現在も死刑に抑止力はあるのか

ところで、「死刑」については、なぜこのような制度があるのかということに関して、「死刑」という究極の刑罰を定めて、その刑罰の”威嚇力”で犯罪を予防しようとしているという人がいます。

この考えは、一見合理的なように思えますが、実は、死刑に相当する罪を犯す人は、ほとんどが、犯行時に自分がどのような刑罰を受けるかということは考えていないのです。その意味では、「死刑」の”威嚇力”で犯罪を防止しようというのは、残念ながら的外れです。

それ以上に、最近では
「社会に絶望して死にたいけれども、人知れず死ぬのは嫌なので、誰かを道連れにしてやろう。」
という考えで通り魔的な犯罪を行う人が増えてきました。

彼らは、自ら死刑になることを望んで罪を犯すのですから、死刑の抑止力よりも、死刑という刑罰があるために、凶悪な事件を誘発しているのではないかという気すらします。

仮に死刑制度がなく、無差別殺傷事件をした犯罪者が、その後『刑務所で何十年も生き続けなければならない』としたら、彼らはそのような事件を起こすでしょうか。何十年もの間、刑務所の中で自分が殺した人たちの断末魔の姿を思い出しながら生き続けることほど苦しいことはないでしょう。

そのように考えると、死刑という制度が、ここ数年頻発している無差別殺傷事件を誘発しているのではないかとさえ思えるのです。

裁判の法廷で、このような事件を起こした被告人に対して
「死刑になりたいですか?」
と聞けば、おそらくほとんどは
「死刑にしてください。」
と言うのでしょう。
このような刑罰を実施したとしても、遺族のやり切れない気持ちの一部は満たされるのかもしれませんが、それで本当に良いのだろうかという思いは残ります。

⑶ 日本の法制度

日本の法制度は、死刑の次の刑は無期懲役で、その下の有期懲役は20年を上限としています。そして、「無期」とはいっても、法律上は10年以上経過すれば仮釈放をすることができることになっています。現実には10年で出られることはないものの、それでも20年を超えると仮釈放になることはあります。

私は、無期懲役の判決が、このように実質的に「無期」ではないということに問題があり、有期懲役も20年が上限とされていることに問題があるのではないかと思っています。

アメリカのように、犯した罪に対する刑を合算して、被告人の存命中に社会復帰することができないような刑罰を科すという制度が導入されれば、死刑が必要という考えも少なくなるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

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