コラム

2013-08-20

クレジット枠換金ビジネス~得をするのはだれか

以前見たあるテレビ番組で”クレジット枠を利用した換金ビジネス”が紹介されていました。

仕組みは単純です。
「クレジット枠をお金に換えられます」といった宣伝を見た人が、この業者を訪ねて行くと「○○に行って××を買ってきてください。」と言われます。
その買った「××」を持って業者のところに行くと、「××」の買値の6~7割(業者によってこの率はまちまち)の価格で買い取ってくれるので、その分の現金を手にできる。
ということになるというのが大まかな仕組みです。

そのテレビ番組は、このようなビジネスを取り締まることは難しいという説明をしたうえで、貸金業法の改正で年収の3分の1までしか借りられないということになったので、今後はこのような業者に多重債務者が流れることになるのではないかという内容でした。

実はこのような業者は、かなり昔から少なからず存在していて、街角の看板やスポーツ新聞などに宣伝を出して、消費者金融やクレジットカードのキャッシング枠がいっぱいになって借金できなくなった人を取り込んで暴利をむさぼっていた訳です。

換金する客はこんなに損をしている!

多重債務に追われて『目先の返済資金を何とかしなければ』と思っている客は、たとえ、そこで商品価格の何割かを差し引かれたとしても「当面の返済資金を確保できる方が大事」と思っているので、その取引で幾ら損をしているのかなどということは頭にありません。

試しに試算してみましょう。

ある客が、この業者に言われて20万円のテレビを買ったとします。
そこで、この客は20万円の24回払いでクレジット契約を結んで商品を手にしますが、それを業者のところに持って行って6割に当たる12万円の現金を手にしたとします。
するとこの人は、12万円の現金を手にするために、20万円+クレジット手数料を支払う債務を負ったことになります。

仮にクレジット手数料を実質年率15パーセントとすると、計算は複雑になりますが24カ月払いで総額23万2735円支払うことになり、実際に手にした金額の倍近い金額を2年間で支払うことになるのです。
このような、極めて率の悪い契約なのですが、多重債務に陥っている人はそのことを冷静に判断できなくなってしまっています。

この客は、この業者のところに行く段階で既に借金の限度額を超える多重債務に陥っているのですから、現実問題として、このクレジットの支払を完済できると考える人はまずいないでしょう。
当然、数か月後には破たんして、その支払不能の損失はクレジット会社が被ることになる訳です。

ここまでお読みいただいて、不思議に思った方はいないでしょうか。
そんな多重債務者が簡単にクレジットを組めるのか。あるいは、どうして購入先の店舗を指定されるのかということが不思議に思えるはずです。

換金業者と販売店はグルになっていることが多い

実は、この業者(私達弁護士は「換金業者」と呼んでいます。)と販売店の担当者がグルになっていることが結構あるのです。販売店側はその店舗の売り上げが上がりますし、この客が将来支払えなくなっても、基本的に損をするのはクレジット会社ですから、自分の腹は痛まないので、換金業者に協力するメリットは少なくありません。

また、換金業者が客から買い取った商品は、新品のままですから、その店舗に買い戻され、そのまま次の客に売られることになります。ひどいときには実際には商品が動いていないのに、クレジット契約だけ結んでそれでお金を手にして、店から商品が一歩も出ないということもあります。

換金ビジネスは取り締まれないのか?

それでは、翻って、このようなビジネスを本当に取り締まれないのでしょうかというのが、本題なのですが、店や換金業者の方で最初から返済不能になると分かっていたとしたら、このクレジット契約を結ぶことは許されるでしょうか。

場合によっては、クレジット会社から代金相当額を騙しとったとして詐欺罪に問われることもあるのではないでしょうか。特に商品が動いていない場合は、詐欺の意思が顕著に表れるので、業者の方も形だけでも商品を介在させることが多いのですが、それにしても、この仕組み全体として違法性が高いことは歴然です。

ちなみに、個人の自己破産事件では、このような換金を多数行っていると免責されないことがあります。

それは、免責不許可事由を規定した破産法366条ノ9の第2号
「破産宣告前1年内に、破産の原因の事実があるのにそれがないことを信じさせるため詐術を使って信用取引により財産を得たとき」
に当たると評価されることがあるからです。

このような商法がまかり通る世の中が果たして良いのか、テレビ番組で、このような商法が現行法では処罰できないと言ってしまって良いのかということには非常に違和感を覚えます。

皆さんはどう思いますか?

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