コラム

 公開日: 2013-08-22  最終更新日: 2014-09-19

観賞用家系図作成 最高裁逆転無罪判決の影響は?

家系図を無資格で作成したことが行政書士法違反に当たるかが争われた事件で、最高裁が下級審の有罪判決を取り消し無罪を言い渡しました。

観賞用の家系図作成は、行政書士の業務である「事実証明に関する書類」の作成業務に当たらないという理由からです。

この結論について、自分たちの業務分野を侵される行政書士会は当然反発しているのですが、実はこの判決の影響はもっと大きなことになるかもしれません。

職務上請求書の利用範囲

この事件では、被告人は行政書士の資格者から「戸籍等の職務上請求書」という特別な用紙を譲り受け、それを利用して家系を調査していました。

この職務上請求書は私たち弁護士も使えるのですが、請求する場合には、利用目的として「訴訟提起準備のため」など自分が受任している事件のために必要である理由を記載することが求められており、その利用はあくまでも資格者の職務上必要な場合に限定されています。

それは、他人のプライバシーにかかわる情報を無関係な第三者が勝手に入手することを法的に規制する必要があるからです。

以前、この職務上請求書を調査会社に使わせて懲戒処分を受けた弁護士もいましたが、使用はあくまでも『資格者の職務上必要な場合に限られている』わけです。職務上請求書の用紙も、弁護士の場合は弁護士会経由でなければ入手できず、用紙の番号で管理されているので、弁護士同士でも用紙の融通は認められていません。おそらく行政書士も同様だと思います。

この事件でこの職務上請求書を被告人に譲り渡した行政書士2名は、そのことで行政書士法違反として罰金刑を受け、行政書士を廃業してしまったようです。それほど、職務上請求ということの縛りは強い訳です。

戸籍調査ができなくなる!?

ところでこの最高裁判決では、『観賞用の家系図作成は行政書士が独占する業務とは言えない』と判断したわけですから、その家系図作成のための戸籍調査は、行政書士の職務上必要なものとは言えないのではないかということになります。

職務上必要なものでなければ、他人の戸籍をたどって家系調査をすることにこの職務上請求書を使うことはできなくなるはずです。すなわち、観賞用の家系図作成のためという理由であれば職務上請求書を利用した戸籍調査はできないということになってきそうです。

この判決の守備範囲がどこまで及ぶかは分かりませんが、役所の対応によっては、行政書士が家系図作成という職務分野を無資格者に侵食されるということよりも、より根本的に戸籍調査自体ができなくなる恐れがあるということになるかもしれません。

同じ職務上請求書を利用して仕事をしている立場としては、今後の推移が気になるところです。

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