コラム

2013-09-24

あなたの契約書の「契約解除条項」は大丈夫ですか?(1)

仕事柄、顧問先等から契約書の内容のチェックを求められることが少なくありません。
今回のコラムでは「契約書」の「契約解除」条項についてお話いたします。

「契約書」のそもそもの目的~契約条項、読んでますか?

契約書は、契約締結時に、契約当事者が将来問題になりそうな事項をあらかじめ取り決めておいて後の紛争を予防するために作成するものですから、本来であれば、将来発生しそうな事態をあらかじめ予測し、


『予測した事態に対する解釈や解決方法について、契約当事者が合意したものを文書化する』


というのが契約書作成の目的です。

日本で使われている契約書は、定型的な契約であれば一般的な事項が印刷されていて、当事者間の個別の事項だけを書き入れて完成させることが多いと思います。
例えば、不動産の賃貸借契約書やクレジット契約書など、印刷されたところを真剣に読んで契約している人は少ないかもしれません。

こんな、定型的な契約条項の中には、契約解除に関する条項が必ずと言って良いほど記載されています。
「契約当事者が次の各号の一に該当する場合、何らの催告をしないで本契約の全部叉は一部を解除し、これによって被った損害の賠償を相手側に対し請求することができる。」
といった内容の本文の後に個別の解除事由が記載されるのが一般的です。

弁護士が見る契約条項のポイントはここ!~「契約解除条項」

私は、この契約書のチェックを求められるときに、常々「これはマズイ」と思っている条項があります。
それは以下のような条項です。


「(契約当事者の一方が)差押、仮差押、仮処分・・・・を受けたとき。」


この条項を見る限り、「差押、仮差押、仮処分」は当該契約に関するものに限定されません。

差押は、債務不履行をしたときに確定判決などの債務名義や抵当権などの担保物件に基づいて、債務者の所有する債権や物件を法的に換価するための手続ですから、このような事態になれば、相手の支払い能力にも不安が生じるので、それを契約の解除事由にするのは合理性があるといえます。

しかし、仮差押や仮処分は、法的には「保全処分」といわれるもので、差押をするだけの債務名義や担保物権を持っていない債権者が、それらの権利が法的に認められるまでの間に、保証金を積むなどして、債務者の所有する物件の処分を禁止したり、権利を仮に定めてもらったりするものです。

ですから、債務者に十分な言い分があって最終的には債権者の権利が認められない場合であっても仮差押や仮処分の決定がなされることは十分にあり得ることです。

また、「仮処分」となると、従業員との労働上のトラブルや近隣トラブルなどの場合にも、裁判所の仮処分命令によって、仮に特定の行為を禁止されることもあって、仮処分で『債務者とされた当事者の支払い能力とは全く無関係の事項によって決定がなされる』こともあるのです。

それにもかかわらず、一般的に「仮差押、仮処分」が契約解除事由とされるのでは、『当該契約の履行に全く支障がないにもかかわらず、契約解除されてしまう』という事態を契約書上容認してしまうことになるので、法律のプロがこのような条項を容認することには心理的な抵抗があるというのが率直なところです。
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今回のコラムはここまでといたします。次回のコラムでは、それでは「どんな契約条項だったら問題を回避できる」のか、マスダの見解をお話いたします。

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