コラム

2013-11-19

民事再生の落とし穴

会社が手形を振り出しているときに、不渡りを回避したいと思う場合、振り出した先が少なければ、手形を差し替えて支払期日をジャンプしてもらうという方法がありますが、何通も手形を振っていて、それが回し手形として振り出した先の会社から離れてしまっていると、その方法をとることは事実上無理になります。

その場合に、手形の不渡りを避けるために、裁判所に民事再生の申立をして、支払い禁止の保全処分を出してもらうという方法があります。

支払い禁止の保全処分が出されると、会社は支払いをすることを法的に禁止されるので、手形の支払いをすることもできません。法的に支払いできない状況になると、たとえ手形を落とすだけの資金がなくても、手形不渡りによる銀行取引停止にはならないので、業務を続けながら民事再生手続によって債務を圧縮して、会社の立て直しを図ることが可能になるのです。



民事再生手続、成功のカギ

民事再生手続が成功するためには、債権者の同意が必要となりますが、債権者数の過半数と債権額の過半数の両方の要件をクリアする必要があります。そのため、通常大口の債権を持っているメインバンクの意向が、民事再生成功のカギを握っているということになります。

もうひとつ大事なのは、商品の仕入れ先等の取引先の確保です。

いくら会社が生き残っても、お客さんに販売する商品や原材料、工事資材などが仕入れられなければ仕事になりません。民事再生をすると、たいていはそれまで仕入れなどをしていた先の買掛も全額は支払えませんので、窮状を救ってもらえるだけの信頼関係を築くことができていなければ、取引停止になってしまうおそれは十分にあります。

取引先等の協力によって、この問題なんとかクリアできたとしても、実は、もうひとつクリアしなければならない大きなハードルがあります。

それは、「税金」です。

民事再生手続の注意点(1)「免除益」と「税金」

民事再生は、最終的に再生計画が認可になれば、債務のかなりの部分が免除されますので、その免除の時点で『免除益』という利益が発生します。

その利益は法人税などの課税対象になりますので、この処理の見通しを立てておかないと、後になって税金が支払えないので再生計画に基づく支払いもできないという事態になりかねないのです。

再生を申し立てなければならない企業の場合、通常は、繰り越してきた累積の欠損があるので、その欠損で免除益を消却できれば良いのですが、繰越欠損が少なければそのような処理もできません。
また、民事再生手続中に資産の評価損を計上して、これを利用して免除益を消却するという方法もあるのですが、これでも消しきれなければ税金を払う覚悟で再生手続を行うしかありません。

民事再生手続の注意点(2)手続きにかかる費用

もうひとつ、民事再生の場合には、会社の破産のとき以上に費用がかかります。

当座の支払資金がなくて再生手続にすがろうというときに、「お金がないと手続ができない」というのは矛盾しているように思うかもしれませんが、この手続には申立代理人や裁判所が選任する監督委員・調査委員の費用がどうしても必要になりますので、その費用が用意できなければ、どうにもなりません。

手持ち資金をすべて支払ってしまった後では、会社を再生させることもできませんし、破産することもできないというのが実態です。

このように、民事再生手続は、越えなければならないハードルが結構多いということが意外と知られていません。

だからこそ、いずれは会社の債務を法的に整理しなければならないという考えが頭をよぎったときには、早めに専門家に相談しましょう。


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