コラム

2014-01-21

賃貸居室内の自殺によって発生する家主の損害(1)

テレビのニュースを見ていたら、自分が保証人になっていた家族が賃貸住宅で自殺した直後に家主から多額の損害賠償を請求されるという問題が取り上げられていました。

その報道内容は、遺族の立場と家主の立場両方から取材していて一方的と感じるほどではありませんでしたが、ニュースを見た多くの方は、遺族に対して同情的な感情を持ったのではないかと思います。
私も、弁護士という立場を離れれば、大事な家族が亡くなった直後に過酷な損害賠償請求をする家主に対して配慮が足りないと憤慨するかもしれません。

しかし、こういった事件にはそれぞれの事情があり、家主を一方的に非難することはできません。
私自身、不動産管理業務を行っている顧問先も多いので、賃貸中の居室で自殺をされてしまった家主が被る損害についての相談を受けることもあります。そんなことで、家主の側の事情もきちんと理解していただく必要があると思ってこの原稿を書いています。

資金的に余裕があるとは限らない?!賃貸物件の大家さんの実態

まず知っておいていただきたいのは、賃貸物件の家主が必ずしも資金的に余裕があるわけではないということです。

昔のイメージだと、賃貸物件の大家さんはある程度の資産を持っていて、家賃収入で悠々と生活していると思われるかもしれませんが、最近の家主は必ずしもそのような人ばかりではありません。

企業が不動産のオーナーになっている場合にはそれなりの資金的な余裕があるかもしれませんが、最近では会社員などの個人がサイドビジネスとして賃貸物件を持つという事例も増えてきていて、不動産賃貸業単独での収益をみると、ほぼトントンか、中には、半分くらいしか部屋が埋まらず、想定していた家賃が入らないので、他からの持ち出しを余儀なくされている家主も少なくないのが実態です。

多くの家主は、銀行ローンを組んで借金をして賃貸物件を建築したり買ったりします。
そのローンは『入居者が支払う家賃から支払いできる』と思って物件を取得するのです。

ところが実際は、ローンの返済に加えて固定資産税や所得税(ローンの元金返済分は所得になるので、その分の所得税の支払いも必要になります。)、修繕費などの諸費用を支払った残りが家主の手取りとなるので、実際には、年間で100万円程度のプラスになれば『相当うまく行っている賃貸物件』といえる程度なのです。

次回コラムでは、物件内で自殺者が出た時の状況、大家さんが被る可能性のある損失について解説いたします。

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