コラム

2014-11-12

「コンサルタント」の実力は?(1)

異業種の人が集まる会に参加してみると、コンサルタントと名乗る方の名刺をいただくことが少なくありません。それまでのキャリアの中で行ってきたコンサルティングの経験を生かして独立する方も少なくないでしょうが、名刺を見ただけではその実力が果たしてどの程度のものなのかは分かりません。

そもそも、コンサルタントを名乗るのに「資格」は必要ない。

弁護士や公認会計士、税理士などのように、厳格な資格試験をクリアしなければその資格を名乗れないのであれば、その資格者であるということだけで、ある程度の能力担保はあるのですが、コンサルタントを名乗るためには特別な試験をクリアする必要は全くありません。

経営コンサルタントの国家資格と言われる中小企業診断士の場合には、結構難しい試験をクリアしているか中小企業大学校又は登録養成機関が開講する中小企業診断士養成課程を修了している必要があるので、それなりの能力担保はあると考えられますが、それでも、コンサルタントを名乗るための資格があるわけではありません。

ウィキペディアで「コンサルタント」の項目を見てみると、「コンサルティングを行うことを業としている個人もしくは法人のこと。コンサルと省略されることもある。 特にこれといった資格などは必要がないため自ら称すれば誰でもコンサルタントになれる。」と書かれています。

また、「コンサルティング」の項目には、「企業(まれに行政など公共機関)などのクライアントに対して、専門知識を活用するなどし、客観的に現状業務を観察して現象を認識、問題点を指摘し、原因を分析し、対策案を示して企業の発展を助ける業務を行うことである。または、その業務そのものを指す。」とありますが、実際には各種相談に応じてアドバイスする仕事であれば、すべてコンサルタントと名乗っても特段の問題はないということになるのでしょう。

会社法を知らない「事業承継コンサルタント」

私が、どうしてコンサルタントの資格要件のことを書いているのかというと、先日、某著名新聞社が発行している経営者向けの雑誌に、事業承継コンサルタントと称する元銀行出身者がびっくりする内容の記事を書いていたからです。テーマはこのコンサルタントが得意とする事業承継に関して、株式を後継者に集中させる必要性に関するものでした。

そこには、先代社長が亡くなって、子供3人が法定相続分で均等相続した事例で、「他家に嫁いだ長女が『経営に参加する意思はないので株を買い取ってほしい。』と言ってきたら拒否することは困難です。長女には株式買取請求権があるからです。」と書いてありました。私がこの記事を読んだ最初の感想は、「えっ?」ということしかありませんでした。

私が学んだ会社法(当時は「商法」の一分野でしたが。)では、株主が株式の買取請求をできるのは、単位未満株や合併や事業譲渡などの会社の重要な決議に反対する少数株主が買取請求をする場合などごく限られた事由がある場合だけだったので、私が知らないうちに法律が改正されたのかと思ってしまいました。(もちろん、それなりに会社法の改正はフォローしていますから、そんな改正を見落としていたら、弁護士としてはかなり恥ずかしいことです。)

そのほかにもこの記事の中には、株主から株式の買取を求められた場合には社長は断れないということがあちこちに書かれており、この記事の記載の論旨の大半はこの買取請求をされたら断れないというところからスタートしていました。

会社法を少しでも学んだことのある方であれば、会社の資本金は、会社財産確保のために安易に減少させることはできないというルールがあるのはご存知だと思いますが、そのため、株主が会社に対して株式の買取請求をするということは特別の例外的な場合以外は認められないというのが原則です。それなのに、この原則を無視して事業承継コンサルタントをするというのはどういうことでしょうか。


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