コラム

2013-05-29

親が再婚したときの養子縁組の有無が「相続結果を大きく分けることになる」というお話

北海道は、全国平均と比較すると離婚件数が多い土地柄といわれていますが、離婚が多ければ再婚も多いということで、離婚した親が子供を連れて再婚することも少なくありません。

一般の人が良く分かっていないこととして、両親が再婚しただけでは、一方の連れ子と他方の親が自動的に親子関係になることは無いということは覚えておく必要があります。家庭内では、「お父さん、お母さん」と呼ぶ関係であっても、法律上は親子とはならないのです。
法律上の親子関係になるには、親が再婚する際あるいはその後に、その再婚相手と養子縁組をする必要があります。養子縁組をすると、その法律上の関係は将来離縁することがあり得るという点を除いては実子と同じですから、当然相続権も実子と同じということになります。

例えば、ある程度資産を形成した後に配偶者と死別して、その後別の相手と再婚するというような場合には、死別前にいた子供の相続権を確保するために再婚相手の子と養子縁組をしないという選択肢もありますが、まだ若いうちに再婚した場合などは、実子と同じような生活が待っているので、養子縁組をして育てるということもあり得るでしょう。

例1:実父と再婚した母(義母)と養子縁組をしていなかった

親族関係で養子縁組をしていなかったばかりに相続に関して困った状況になったという例をご紹介します。

一件は、父親が会社を経営していて、若いうちに再婚した妻(義母)がいたという事案で、父親が亡くなったときに、義母の生活のために自宅や預貯金などの遺産を義母に相続させたのですが、義母と養子縁組をしていないということを知らなかったために、義母が亡くなったときにその遺産が全て義母の親族にとられてしまったというものです。自分が幼いころに父親が再婚して、子供のころから実母と変わらない関係で生活していたとしたら、法律上の親子関係があるかどうかというところまではなかなか気が回らないと思います。(小さいころの養子縁組であれば、親が法定代理人として手続をするので、本人がその有無を知るためには戸籍を確認するしか方法がありません。)

この場合も、自分が小さいころに父親が再婚しているので、当然親子関係はあると思っていて、養子縁組の有無まで考えたことは無かったようですが、いざ義母が亡くなってみると、法律上の親子関係はありませんから、義母に兄弟姉妹などの法定相続人がいる場合には、こちらには全く相続権がないことになります。そんなことだと知っていれば、父親が亡くなったときに義母と養子縁組をする、あるいは遺言を書いておいてもらう(義母の兄弟には遺留分がないので、子供たちに全て遺贈するという遺言があれば良かったのです。)などの対応をしておけばよかったのですが、義母が亡くなった後ではどうしようもないということになります。

例2:実父が後妻と入籍をしていなかったケース(事実婚)

父親が法律上の再婚はしなかったのですが、事実上女性と同居して、子供たちも「お母さん」と呼ぶような関係になったという事案があります。

この女性は、兄弟などの身寄りもない方だったので、父親が亡くなった後は、長男が相続した自宅にその女性を住ませて面倒を見ていました。その女性は、年金もなく働いてもいなかったので、預貯金はありましたが、それは全て長男の支援によって形成されたものでした。
このような関係であっても、この女性と長男との間には法律上の親子関係はありませんので、女性が亡くなったときに女性名義の預貯金を引き出すことはできません。法律上は相続人がいない場合にはその相続財産は「国庫に帰属する」とされているので、国に没収されてしまうというのが原則なのです。

しかし、この場合には、法定相続人がいないということで、家庭裁判所に申立てて相続財産管理人を選任するという手続きをした後に、特別縁故者に対する相続財産分与の申立をすれば、家庭裁判所の決定により、その相続財産を分与してもらうことが可能になります。ただ、この場合でも相続財産の全部を受け取れるかどうかは裁判所の判断なので楽観はできません。
そしてこれらの手続きをするときには、ある程度の費用と時間(法定の手続をするだけでも1年以上はかかってしまいます。)がかかってしまいますので、そのようなことになる前に、養子縁組や遺言等の準備をしておけば良かったのです。

一度養子縁組の確認を!

以上述べたように、養子縁組というのは、親族の精神的な絆の問題だけでなく、相続という法律問題に深くかかわる問題であるということを知っていただき、ご両親が再婚している場合などには、一度養子縁組の有無を確認しておくことをお勧めいたします。

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