コラム

2013-05-22

弁護士費用のお話し(3)~弁護士はどうやって事件の相談を受けているのか?

前回のお話しは、弁護士の懐具合の解説のなかで、事件の相談を受けるルート(以下、受任ルート)を説明するというところで終っていましたので、今日はその続きです。

それでは弁護士の受任ルートの主なものを挙げてみましょう。

1)弁護士本人の知人・リピーター

一番は何と言っても弁護士本人を知っている人の紹介やリピーターということになります。弁護士に何度も事件を頼むというのは一般の個人ではかなり珍しいことですが、事業活動を行っていれば何らかのトラブルはありますから、一度依頼を受けた企業がリピートしてくれることは珍しくありません。
そして、その回数が増えて信頼関係が形成されるようになると、顧問契約を締結するという流れになる訳ですが、顧問契約についてはまた別の機会に取り上げてみたいと思っています。

ところが、弁護士としてキャリアが浅いうちは、そもそも弁護士としてお付き合いしたことのある人もごく少数なので、このルートからの受任は期待できません。

では、キャリアの浅い弁護士はどのようなルートで相談を受けるのでしょうか?

2)法律相談センター経由の相談

札幌弁護士会の場合には、法律相談センターがあり、そこで管理している多くの相談に相談担当者として登録すると、当番制で相談担当が割り当てられます。法律相談センターで管理している相談は、センター独自で運営している相談や市役所などの公的機関から相談担当者の派遣を求められているものなど多数ありますが、相談したときに相談者から直接事件依頼を受ける(これを直接受任、短縮して「直受」といいます。)ことができる相談とできない相談があります。

役所関係の相談の場合には、弁護士の営業に協力しているという形になることを避けたいということや、弁護士と相談者が後々トラブルになったときの責任の問題などもあって直受は基本的に認められないことが多いのですが、弁護士会の相談センターであれば直受できますので、相談の担当になって、そこから事件を受けるというのが一つの大きな受任ルートでした。

私が弁護士になったころは、今の半分以下の数の弁護士しかおらず、既に依頼ルートを確立していてセンター登録をする必要のない先輩弁護士も多かったので、その分若手弁護士に担当の機会が多く、センター経由の受任事件に大いに助けられたものですが、最近は弁護士の数が飛躍的に増えてきて、センターに登録しても担当が回ってくる回数がかなり減っているので、このルートだけでは事務所を維持することはできません。

※もう一つの問題として、法テラスが国費を投入して無料相談を実施していることや、個々の弁護士の広告が一般化されたことで、実際に相談を担当する弁護士が誰なのか事前に分からない法律相談センターの魅力が相対的に低下しているのもセンター経由の受任が減っている要因となっています。

3)先輩弁護士からの紹介

事件が複雑、ボリュームが大きいなどの理由で一人では手に負えないという場合に他の弁護士を誘って共同で受任することがあるほか、事件の相談を受けたけれどもいろいろな事情から受任できないという場合に、他の弁護士を紹介して欲しいと言われることもあるので、そのようなときに後輩弁護士に事件を紹介することもあります。

私が弁護士になったころによく聞いたのは、「弁護士の最大の依頼者は先輩弁護士」という話で、先輩弁護士から信頼されていれば、仕事を回してもらえるだけでなく、ほかにもいろいろな面で仕事にプラスになると教えられたものでした。私も、独立してから数年は、先輩弁護士から声をかけていただいた事件をやらせてもらってかなり助けてもらいました。

 ※※マスダのちょっぴり解説※※
 弁護士の場合、誰かから事件を紹介してもらったときに、紹介者に紹介料を支払うことは法律で禁止されています。弁護士以外の人が有償で弁護士を紹介することも禁止です。これらは、「非弁提携」として懲戒の対象になるだけでなく、弁護士法違反として刑事罰を受けることになるので、弁護士はそのようなことのないように注意しています。

しかし、一部には、仕事のない弁護士に言い寄ってきて、事件を紹介するだけでなく、事件処理までするので名前だけ使わせてくれたら毎月定額を支払いますという、いわゆる「事件屋」が存在して、てきとうな事件処理をしてしまう例があります。
弁護士事務所に行っても、事務長と称する人物が全て取り仕切っていて、弁護士と会ったこともないというような場合には「非弁提携」の疑いがあるので注意が必要です。

このように、人からの紹介やリピート、法律相談センター経由の受任は、1か月に3、4件もあれば上出来というのが私の感覚です。
これらのほかにも弁護士が扱う事件はあります。

4)刑事弁護の事件

当番弁護士や国選刑事事件など、私たちが若手のころは、月に1件程度の国選刑事事件は必ずありました。1件の事件でもらえる弁護報酬は7~8万円だったので、国選の報酬は会費で消えるという印象でやっていましたが、最近は、会員数の増大により月に1件も回ってこなくなったのでその収入も当てにはなりません。

5)破産管財人の仕事

弁護士登録後2年目くらいから破産管財人の仕事が裁判所から回ってくるようになります。小さい事件であれば、半年くらいかけて1件処理して2~30万円の報酬というのが相場です。(小さい事件を真面目にやっていると、そのうち裁判所から大きな事件の依頼が来て、ちょっとしたボーナスになることもあります。)

こんな感じで弁護士業務を行っていると、事務所を維持するために1件の事件を受任したときに、幾らくらいの弁護士費用をいただく必要があるのかということが見えてきます。弁護士の側の事務所維持という観点から弁護士費用を算定するというのは本末転倒に思うかもしれませんが、別に大金持ちになるためでなく、それがなければ事務所を維持できないという金額をベースに費用の算定をしているのですから、これが不当に高額だという批判は当たらないと思っています。

標準的な弁護士の事務所で月額200万円の売り上げを考えると、1件当たりの単価が着手金・報酬合わせて50万円くらいの事件が2件、30万円くらいの事件が2件、国選1件、管財事件1件が毎月コンスタントに受任できるくらいが標準的な事件数と規模かなと思っていますが、現在それくらいの事件をコンスタントに受任できている弁護士は少数でしょう。そこに、ごく稀に、報酬総額100万円を超えるような事件があったりするので、トータルで何とか事務所を維持しているというのが多くの弁護士の実態のような気がします。

●次回の弁護士費用のお話し~小さい事件は依頼しづらい?

よく、相談者の方から、こんな小さな事件をお願いして申し訳ないというようなことを言われることがあります。確かに、手間ばかりかかって実入りの少ない事件もありますが、多くの弁護士は、小さな事件だから受けたくないという感覚では見ていないと思います。

次回のコラム 弁護士費用のお話し(4)では少額事件に対する弁護士の見方について解説させていただきます。

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