コラム

2014-01-16

足、つべたいの

今朝、居候のちーちゃんをお散歩につれて出た。

・・・このちーちゃんはお店で唯一、毎日のお散歩に「いかない」犬である。
出会う前はきっとほとんどお散歩というものに行っていなかったのだろうと思われる。店にきてくれるお泊まり犬たちのお楽しみ、大自然の中で思いっきり遊ぶ時間である「野外活動」というものにちーちゃんも連れて行った事がある。その日は雨が降っていた。途中まで小さな体で一生懸命に足を動かしご一行様についてきていたちーちゃんが、いきなり「ぱたっ」と横に倒れて動かなくなったのだ。お散歩しない犬にとっても酷だったのだろう。その一件があってからは、ちーちゃんに関しては無理にお散歩に連れて行かなくてもいいルールを作った。この店で唯一「お散歩に行かせなくていい犬」といわれている理由だ。

さて、北海道はどこみても雪一面の白一色。お散歩に慣れていない子たちがよくやる、「足つべたいの」をちーちゃんももれなく見せてくれる。4本の足を交互に器用に挙げながらもじもじするのが「足つべたいの」行動である。前足を一本空中に浮かせ、その次には後ろ足一本が宙に浮く。本人はバカまじめに寒がっているのだろうが、その姿は笑いを誘う。そりゃあそうだろう、人間にはそのために「靴」というものがあるが、犬にはそういうものはない。

でも。
犬には「肉球」がある。これがたいした良い「靴」の役割を果たす。人間の靴は使えば使うほどすり減ったりと消耗していくが、この肉球という靴は「使えば使うほど頑丈に鍛えられていく」代物なのだ。暑い夏のアスファルトも、寒い冬の雪も、肉球を酷使すればするだけ、いろいろな環境にも耐えられるような「靴」にどんどんとなっていく。年がら年中使えるかけがえのないオールシーズン靴になるのである。
ちーちゃんのようにあまり散歩をしない子の肉球は「ぷにぷに」とやわらかい。「やわらかーい!」と喜びたくなるくらい柔らかいのは、本当はあまりいただけないこと。ぷにぷに肉球を喜んでいいのは子犬のときだけ。成犬になってからのぷにぷに肉球は「お散歩を怠っています」と物語っていることになる。肉球を使っていないから皮が厚くならない。温度差に耐える能力が鍛えられない。だからすぐひび割れを起こしたり擦り剥けたりさせてしまうような、か弱い肉球になってしまうのだ。

犬たちよ、風の子になれ。


<補足・・・ちーちゃんとの出会い>  

ちーちゃんはもともと、ある動物保護団体にいた子。そこから「咬んで触れない犬だからこのままじゃ里親すら見つからない」とトレーニングの依頼を受けたのがチーちゃんとの出会いだった。
その時点で推定9歳。マルチーズらしく体は華奢で目がまん丸く真っ黒。胸に抱き上げると甘える気持ちがはやるのだろう、頭を押し付けたり体をくねらす。ごつごつと骨張っているあばらや腰骨がやけに手に触るが、嬉しい感情をあらわにするちーちゃんはかわいいマルチーズだった。
しかし・・・一旦どこかに潜り込んでいったが最後、そこから半径1メートルは誰も近づくことができないくらいの猛獣と化する。潜り込まなくとも、お気に入りのベッドなどに身を落ち着けようものなら、もう大変。面白いくらいの凶暴犬に早変わりするのだ。
・・・実際それはなにかというと、「過剰な自己防衛」による行動であった。過去に何があったかはもうわからないこと。でも、昔、きっともともと噛む子であったには違いないのだが、その際にでも自分の許容範囲以上のしかられ方をされたのかもしれない。恐怖を通り越し、今度は自分の身を守ることにしたらしいのだ。その結果が、「自分の安心できる場所では過剰に自分を守り、やられる前に攻撃をする」という行動が出てきているようだった。
結局ちーちゃんの場合は、しかることをいっさいやめ、触るときには必ず「自分から出てきてもらう」ことにすると、全て事がうまくいくようになった。自分から甘えに出てくるようになり、甘えているときのちーちゃんはとにかく「家庭犬の醍醐味(人間の癒し)」を見せてくれる。つまり、「犬を変えさせる」のではなく「人間の対応を変えてやる」ことでお互い歩み寄ることが、ちーちゃんのケースでは必要であったのだ。9歳で、しかも自閉症的な行動もある。であれば、こちらからあゆみよってやればいい。

ちーちゃんをいざ保護団体に戻す日が来たのだが・・・このちーちゃんがこれから「外飼い」のように飼われるのをわかっていて置いてくる気になれず・・。ちーちゃんの場合、かなりの理解をしてくださるご家庭でなければ里親にもなれないだろう。スタッフの同意を経て、ちーちゃんは「手のかかる居候」として、私たちのチームに入ったのだった。

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