コラム

2014-06-18

労働問題 ~ブラック企業の背景~

 なぜ日本で「ブラック企業」が社会問題化するまで広がってしまったのでしょうか。
 それは、日本社会の動きと無関係ではないと思います。

 日本はバブル崩壊を経験し、それまでの右肩上がりの経済成長は停滞しました。GDPや経済成長率といった数字も伸び悩みます。つまり、単純にいえば日本経済全体の総収入(総売上)の上昇がなくなったわけです。

 経済成長が停滞期を迎えれば、「以前のように経済を再生させたい」と思うのはやむを得ません。
 ここで、健全に「経済を再生させたい」と考えれば、経済成長(売上の上昇)を目指すのが当然です。しかし、当然のことながら、思いがけずに停滞期に入ってしまった経済状況を簡単に打開できるような方策はなかなかありません。

 他方、実は企業の論理としては、最終的に得られればよいのは「売上」ではなく「利益」です。「利益=売上-経費」ですから、売上が伸びないなら、経費を削減すれば利益は確保できることになります。
 経費を削減する方法はいろいろありますが・・・。

 おわかりいただけたでしょうか。日本社会は、バブル崩壊後の経済成長の伸び悩みの穴埋めを、日本人の人件費の削減という経費削減により行おうとしたのです。
 それが、右肩上がりで賃金が上がる終身雇用制度の廃止、賃金ベースが確実に下がる非正規雇用の増大という政策に、はっきり表れているということができると思います。

 さて、最近アベノミクス効果で日本全体の経済状況が回復しているといわれています。であれば、企業の業績がよくなっているはずですから、経費が多少増えても問題ないはずです。以前の利益幅でよいなら、売上が伸びた分だけ、人件費も回復させてよいでしょう。
 しかしながら、現実はそうはなりません。利益が増えた分は企業の「備え」として貯めておくというのです。
 これが、今の日本社会です。

 みなさんは、苦しい時期の日本社会を支えるための方法として、苦渋の決断として、自らの賃金を減らして日本経済に貢献するという「痛み」を受け入れました。
 ところが、経済状況が回復しても、そのことによる利益を享受しているのはほんの一握りの人たちです。むしろ、大半の人は、苦しい時代の遺産(痛みを受け入れること)がそのまま正しい論理であるかのようにすり込まれ、「従業員から搾取して利益を上げる」ブラック企業の論理を無言で許容しているのと同じ状況になってしまっているのです。

 「従業員をモノのように扱う」「従業員から搾取して利益を上げる」ブラック企業を許容してしまう社会は、私にはとても健全なものだとは思えません。
 お金が不必要だとは思いません。ですが、あくまでも人が幸せになるための手段の一つに過ぎません。

 お金は人が幸せになるための手段でしかなく、お金のよりも人間の方が大事であるということ、その優先順位について、今一度少しでも多くの方にあらためて考えていただければと思います。

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